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1.離婚すると配偶者ビザはなくなります

本来、配偶者ビザは「日本人の妻または夫」という身分関係に対して付与されるビザなので、離婚してしまった場合、『日本人の配偶者の身分の消滅(日本人の配偶者でなくなる)』に伴い、日本に在留する事ができなくなり母国へ帰国しなければなりません。

離婚すると下記のいずれかになります。

  1. 母国へ帰国する
  2. 別なビザへ変更する

注意!配偶者ビザの取り消し

結婚していても配偶者ビザが取り消しとなるときがあります。どんな時かというと『正当な理由なく配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合』在留資格の取り消しの対象(入管法第22条4の2の7)となります。ご注意下さい。

2.離婚する時に入管へ届け出が必要です

日本人配偶者と離婚又は死別した外国人で下記の1~3のビザを取得した人は14日以内に最寄りの地方入国管理局に離婚した旨の届出「配偶者に関する届出」をしなければなりません。

  1. 日本人の配偶者等
  2. 家族滞在
  3. 永住者の配偶者等

注意!入管届出を怠った

離婚後、他のビザに変更する方は必ず14日以内に入管へ届け出をしてください。なぜなら、この届出が遅れると届出の義務違反となり、ビザ変更手続き(配偶者ビザ→他のビザ)で不利となるからです。

3.離婚後も引き続き日本に在留できるビザの種類

離婚後も日本で済み続ける事を希望する場合、下記の1~4のいずれかのケースがあります。

ケース1

  • 日本人との結婚生活が長く日本に生活基盤があるため、離婚後も日本に住み続けたい
  • 日本国籍の未成年者の実子がおり、離婚後も日本で養育するため日本に住み続けたい

→ 定住者ビザ

 

ケース2

離婚後、外国人配偶者が日本で知識や仕事で培ってきた経験、母国の文化や言語に関する知識等を活用した仕事をしたい。

 技術・人文知識・国際業務」

 

ケース3

離婚後、外国人配偶者が日本で事業の運営(会社経営)をしたい

→ 経営管理ビザ

 

ケース4

離婚後、他の日本人と結婚をし(再婚)もう一度、配偶者ビザを取得する

→ 配偶者ビザ

そもそも、定住者ビザとは法務大臣が個々の外国人の状況に応じ、特別な理由を考慮して居住を認める在留資格(ビザ)で、人道上の理由その他特別な理由があることが必要とされます。

では人道上の理由その他特別な理由とは以下の1~4のケースです。

  1. 難民に関係するケース
  2. 日系人に関係するケース
  3. 「定住者」の配偶者
  4. 日本人、永住者、特別永住者、定住者の扶養を受ける未成年で未婚の実子

4.定住者ビザとは?

離婚後、住み慣れた日本で引き続き暮らしていきたい、そのため母国へ帰国したくない、という希望が大半です。このようなケースで離婚後も日本で済み続けるビザはどんなビザかというと「定住者ビザ」です。

そもそも「定住者ビザ」を取得するためには「特別な理由」が必要で、この理由によって日本での居住が相当であると認められる外国人のために設けられています。

定住者ビザは法務大臣が認めますが、法務大臣は「定住者告示」という予め「このような人は定住者として認めますよ」というルールを設けています

このルールに沿って入国管理局は外国人に定住者ビザを許可するか否かを決定します。

「定住者告示」の他に「例外」に定住者ビザを認めるケースがあります。これを「告示外定住」といい、定住者告示をもって定める地位を有する者として活動にあたらないが、「定住者」の在留資格が認められるものです。離婚定住ビザはこの「告示外定住」の中に含まれます。

定住者ビザの取得条件

法務大臣が個々の外国人の状況に応じ、特別な理由を考慮して居住を認める在留資格(ビザ)で、人道上の理由その他特別な理由があることが必要とされるときに取得できるビザです。

ここで重要なのが『特別な理由を考慮して日本での居住が必要』である事です。つまり、日本で居住する事に『特別な理由』が必要であることです。

では、どのようなケースで「人道上特別な理由」となるのかというと、下記のA~Eのケースの時です。

人道上、特別な理由となるケース

  1. 日本人、永住者、特別永住者、定住者の扶養を受ける未成年で未婚の実子がいる
  2. 外国人配偶者が離婚後も引き続き日本に在留を希望する
  3. 外国人が難民に関係するケース
  4. 外国人が日系人に関係するケース
  5. 外国人が「定住者」の配偶者

「離婚」に伴う定住ビザでは特に上記AとBの定住ビザの申請件数が多いです。

A:日本人、永住者、特別永住者、定住者の扶養を受ける未成年で未婚の実子がいる
日本人実子扶養定住ビザといいます

B:外国人配偶者が離婚後も引き続き日本に在留を希望する
離婚定住ビザといいます

(1)日本人実子扶養定住ビザ

日本人と結婚をして、子供がいる事は当たり前の事です。また離婚をし、自分の子を産まれ育った日本で養育したいと思う事も当然ですね。しかし、親が外国人の方であれば離婚後、そのまま日本に住み続ける事はできません。この時ビザの変更の手続きが必要です。「配偶者ビザ」から…

日本人実子扶養定住ビザ」への変更となります。

許可条件

  • 日本人との間に出生した『子』を離婚、死別後に日本国内において親権をもって監護養育を希望する外国人である
  • 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  • 日本人との間に出生した実子の親権者であること
  • 現に相当期間、当該実子を監護・養育している外国人であること

条件① 生計を営むに足りる資産又は技能を有することとは?

一定の収入要件を必要としていますが、外国人親に稼働を困難とする事情があり、当該事情を考慮して生活保護等が支給されている場合であっても、将来的には稼働の意思があり、かつ日本人の実子を監護養育している事実が確認できれば、当該収入要件は不要です。つまり、日本人の実子を親権者として監護養育する外国人親については、独立生計維持能力が十分とまではいえなくとも、「定住者」の在留資格が認められる可能性があります。

日本人の実子を親権者として監護養育する外国人親には自活能力が備わっていることが望ましいですが、一時的に公的扶助を受けていることのみをもって、不許可になるわけではありません。

大切なのは、今ではなく今後、近い将来その公的扶助受給状況を脱して自活能力を備えるに至る予定や計画を申請理由書に記載することが重要です。

条件② 日本人の実子とは?

「日本人の実子」とは、嫡出、非嫡出(婚姻関係の有無)を問わず、子の出生時点においてその父または母が日本国籍を有している者をいいます。

また実子の日本国籍の有無は問われません。日本国籍を有していない非嫡出子については、日本人父から「認知」されていることが必要です。日本人の父により生後認知を受けているものの、その認知が日本人の実子の出生から相当期間の後になされれている場合は、日本人の実子の出生から認知に至る事情、その間の交流状況、認知の届出が遅延した理由等について審査されます。

補足ー1

日本人父と外国人母の婚姻関係は要求されません。例えば妻がいる日本人父と愛人として外国人母が出産した実子も対象となります。つまり、独身外国人女性が既婚日本人男性と不倫で子を出産した場合でもその出産した子は日本人実子扶養定住ビザにおける「実子」となります

補足ー2

永住者、特別永住者のビザを取得している外国人の実子がいたとしても当該外国人は「日本人実子扶養定住ビザ」の適用外です。

この場合、「離婚」または「死別」を理由とする 定住ビザが該当します。

条件③ 「監護・養護」とは?

監護、養護とは、親権者等が未成年者等を監督し、保護することをいいます。無事、「日本人実子扶養定住ビザ」を取得したとしても、子が実際に監護、養護している状況でなくなれば、実子が就労を開始し又は婚姻して独立した場合を除き、在留期間の更新申請は不許可となる可能性が高いです。

また、日本人の実子が低年齢である場合には、外国人親の日本における稼働に支障となるため、当該子を本国の親族等に預けるという事例が多く見られることから、日本人の実子の日本滞在予定が継続的なものであるかどうかが審査されます。

日本人の実子が義務教育年齢に達している者で、日本での就学を予定または希望している場合には、子の教育を受ける権利が尊重され、配慮されます。

補足ー1

日本人実子を親権者として監護養育する親が日本人母ではなく、外国人父であっても当該外国人父に対し日本人実子扶養定住ビザとして認められます。

補足ー2

離婚または死別を理由とした定住ビザのような婚姻期間(3年)の条件はありません。

(2)離婚定住者定住ビザ

離婚後、「実子」がいないと日本に在留し続けることができない訳ではありません。実子がいなくても一定条件のもと定住ビザを取得することができます。

つまり、離婚後一人になったとしても定住ビザが取得できます。このビザを離婚定住ビザといいます

対象者

  • 日本人である配偶者と離婚をした外国人(死別も含む)
  • 日本に住んでいる「永住者」である外国人配偶者と離婚をした外国人
  • 日本に住んでいる「特別永住者」である外国人配偶者と離婚をした外国人

取得の条件

  • 日本でおおむね3年以上の正常な婚姻関係、家庭生活が継続していたと認められる
  • 入国管理局へ離婚に伴う配偶者に関する届け出を提出している
  • 生計を営むに足りる資産又は技能を有する
  • 日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
  • 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること

日本でおおむね3年以上の正常な婚姻関係、家庭生活が継続していたと認められるとは?

正常な婚姻関係、家庭生活とは、通常の夫婦としての家庭生活を営んでいたことをいいます。したがって別居していた期間があっても、夫婦としての相互扶助、交流が継続して認められれば、これに該当するとされています。

また、おおむね3年以上の正常な婚姻関係、家庭生活が継続していたのであれば、付与されていた在留期間が「3年」や「5年」ではなく「1年」でも許可される可能性があります。

さらにかつて不法滞在状態であったが、在留特別許可により正規滞在となっている場合でも、許可される可能性があります。

入国管理局へ離婚に伴う配偶者に関する届け出を提出していとは?

外国人配偶者は離婚した場合、入国管理局へ14日以内に届け出をしなければなりません。この届出をしないと定住ビザを申請することはできません。

生計を営むに足りる資産又は技能を有するとは?

おおよそ月20万円位の収入があること

日本語の能力を有しているとは?

日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこととは、例えば、申請書の記載や面接において、申請人との意思の疎通が可能であればよく、特定の日本語の試験に合格していることまで問われません。

公的義務を履行していること又は履行が見込まれることとは?

過去の素行に問題がなく、今後も素行に問題無いと見込まれる(税金を支払っている、警察に捕まったりした履歴が無い等)

※重要!

離婚定住では、離婚に至った理由や事情も重視されます。
これら理由等はビザ申請時の理由書において、結婚から離婚にいたる経緯を詳細に説明する必要があります。
また離婚定住では入国管理局が元配偶者から「離婚の理由」「事情」等を聴取することがあります。
配偶者によるDV被害が原因で離婚に至ったような場合には、定住ビザが認められる可能性が高くなります。
このDVによる被害に係る立証資料としては、例えば「診断書」「女性相談所からの意見書」「配偶者暴力相談支援センター」への相談履歴、住民基本台帳事務におけるDV等被害者への支援措置決定通知書、警察相談等があります。